生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ

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2006年 07月 01日 ( 1 )


2006年 07月 01日

白昼堂々の早稲田大学教授

今朝はホテルから約1時間散歩しました。このWestwood地区はなかなかきれいな気分の良い地区であることを認識しました。Hilgard avenueにホテルがあるのですがWestwood blvdからConte avenueなどをのんびり歩きました。泰山木が見事な並木があり、その脇に夾竹桃がいっぱいに咲いている建物の壁を見ほれていましたら、そこがわたくしが宿泊したホテルでした。いつのまにかぐるっと一周していました。ロスの中心でもっとも良さそうな地域でした。その後、朝食をTさんと一緒にして、空港まで送ってもらいました。今回は岡崎令治、岡崎恒子先生の門下のかたがたに大変世話になった旅行でした。岡崎先生ご夫妻の薫陶をうけたかたがたの学問にたいする純粋な気持ちをいつも感じます。

飛行機に乗る前に空港で読んだ読売新聞記事での、早稲田大学の松本和子教授のわたくしには途方もなく感じられるスケールの大きな疑惑に驚いています。松本教授は辞表をだした(ただ受理はされてない)とのことですが、なぜか早稲田大学の総長のほかにも偉い方々がたくさん減俸などの処分をうけたとか。なぜそういう処分をうけたのか、詳しく説明をしないといらぬ疑惑が松本教授以外の人々にもかかってしまうでしょう。

松本教授は国の研究費をどういう手段でしたのか詳しくしりませんが、学生アシスタントの賃銀をピンハネして、自分名義の投資信託かなにかでお金を貯めていたとか。その金額は1千万円近いとか。このような不正はわたくしは研究者がやったものとしてかつて聞いたことがありません。公金横領ではないのでしょうか。とうの昔に告発、逮捕されてしかるべきではないかと思います。ただ、なにかそのお金を今後研究費で困った時に使うべく将来のためにとっておいたと本人は言ってるそうです。研究費があまって「もったいない」と思ったのかもしれません。たぶんご本人に会って話しを聞いたらいろいろ言い分があるのでしょう。
問題は、それだけではないのです。松本教授を国際的に著名にした5年前に発表した論文のデータそのものに捏造の疑惑が指摘されているとのことです。中国人研究者との共同論文だそうで、これが問題になってるとの読売新聞の記事です。
松本教授には研究費がこの7年間で合計で8億円出されているのだそうですが、研究評価はCクラスの低いものだったのに、いつのまにか巨額の研究支援がなされていたとの事です。しかし、これだけの研究費をコンスタントに取っているというのは、日本を代表する化学者と認識されていたのでしょう。

わたくしは松本教授がどのようなかたかまったく知りませんが、首相が主宰する科学技術総合会議のメンバーであり、国際化学連合(IUPAC)の副会長でもあった、さらにはもうすぐこの歴史ある国際連合の会長になることが約束されていた、ということですから、大変な影響力のある、要職に就いていたわけです。

そのような指導者が、研究データ偽造、経理不正、国の研究費の私的蓄財(流用)をやっていて、報道によると研究面での不正について科学技術総合会議で提言をしていたと聞くと、心の底からあきれてしまいます。怒るよりも、ブラックユーモアを感じてしまいます。つまり盗人が盗人をつくらないための方策を首相に提言したようなものでしょうから。いったい誰がこの人をこのような重要なポジションに推薦したのでしょうか。たぶん関係者は絶対に何も言わないでしょうが。阪大の場合でも東大の場合でも、組織防衛で見事なほどにまずいことは言わないのが通例です。早稲田大学ではいち早く処分までしてしまいましたが、これで火は消えるのでしょうか。

このスケールの非常に大きな不正がどう行われていたのか、だれも気がつかなかったのか、それともうすうすは周囲が気がついていたのか、それとも見え見えの不正行為が白昼堂々まかり通っていたのか、たいへん気になります。私学は国の研究費を使うのに慣れていなくて、ルーズになりがちな一方で不必要に窮屈にしか使えない点も多々あるとか、聞いたことがあります。

わたくしが思うところ、本来の器でないところに、居てまった人物が生みだす一つの典型例ではないでしょうか。
本来の研究能力にふさわしくない、巨額の研究費をとることを画策して、手にした研究者がどのようになっていくか、一つの例ではないでしょうか。

わたくしにはよく分かります。背伸びをすればかならず無理が生じます。これは断言してもいいと思います。無理な研究環境では、研究という純粋な行為とは無関係な恣意的な、おかしな事が起こりやすいのです。人為的な方向に無理が向かうと直下型地震ように大きな被害が周辺に起こります。このあいだある先生に聞いた話しでは、ある有名大学のあるキャンパスはお金と名声を求めてはしりまわる数人のボス教授が研究環境を台無しにしている、国が投入している研究費の大半がボス教授の私利的なプロジェクトのために利用されている、と憤慨していました。特許優先の研究指向の一つの帰結です。国はそうならないように、最大の注意を払う必要があります。

能力のないもの、成果のない研究者が巨額な研究費を手にすること自体が「不正」であると、国や公共機関は、つまり納税者は認識する必要があります。

この際、研究能力や成果に見合わない巨額の研究費を公的機関から受け取っているところを徹底的に探しだし、調べ上げる必要があるのではないでしょうか。

たぶん、そうすると、「コネ」にもとづく研究費分配が日本で巧妙にしかも大々的に行われていることに気がつかれるかたが多いでしょう。この巨額研究費の不正の温床はコネであると、わたくしはひそかに思い続けています。これは日本文化に深く根ざしているので、日本人社会にどっぷり居る人間にはほとんど気がつかないのですが、談合とか癒着とか根本はおなじ文化が生みだしているものでしょう。この松本教授の研究費の分配過程もよく調べれば色んな事がわかるでしょう。でもたぶん、そこまでは、調べられないでしょう。しかし、表面的でもいいから、ある程度のメスを入れないと、どうにもならないでしょう。

by yanagidamitsuhiro | 2006-07-01 18:51