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2009年 11月 30日

沖縄恩納村でのワークショップ、おかしな節約方針

朝早く起きて関西空港から那覇に入って夕方からのワークショップに備えました。
部屋にお湯沸かしがあることは確認したのですが、カップがないので、売店でめんそーれと書いてある600円也のマグカップを得て、いつものZのコーヒーを飲みました。最近の旅行先でのこだわりです。関西空港で生命科学のNさんと病院のKさんにあっていろいろ雑談をしながらきました。
当然ながら民主党の話題が多かったでした。NさんはSS関係の学会の会長をしていますのでこの仕分けがらみでいろいろ学会の動きを教えてもらいました。日本中で話題になっていること、みなさん危機感をもっていることこれはまちがいない。

このワークショップはがん、代謝病、老化にからむので医学系の研究者が多いです。しかし、新しい分野でもあるので顔を合わせるのが滅多にない、なかなかフレッシュな組み合わせが多いのも楽しみの一つです。昨日北京で飛行機を乗り遅れたという出来事も会ったようですが、だいたいは海外のかたも順調にあつまっているようです。
わたくしも4時前のバスでシーサイドハウスの会場まで行きました。あるくと40分くらいかかるのできょうは辞めておきました。3人のオープニングの講演を聞いて満足、充実していました。
そのあとはレセプションでした。早くもポスターの前でいろいろ議論があるようです。
ことしもSK君のおかげでいい会合になりそうです。

わたくしも研究現場に45年もいるのですからどうしたら無駄を排するかはそれなりの知識があるつもりです。とくに若い頃にはこづかいさん兼社長の役割をしていかにお金を有効につかうかに心を砕いてきたので、知識はごくプラクティカルにあります。
そういう人間の目からみると、今回の仕分け会議のやりかたは、現場をしらない人たちの作業のようにみえました。官僚、政治家、マスコミは研究現場をしらないのです。いかにして研究のスピリットをさげずになおかつ研究経費をさげるかのすべを知りうるのは現場の研究者なのです。
時間がないので、二つ指摘しておくと、ひとつは単年度制の予算を複数年にすればそれだけで10-20%の研究経費の節約が期待出来ます。つぎに、外国からの物品購入をいまのような煩雑な商社が間に入る制度を止めて研究者なり事務室がメーカーから直接購入できれば20-30%程度、ものによっては50%以上の節約ができるはずです。
なぜそれができないかを調べるば今の日本の研究機関がどんなくだらないものに支配されているかがみえてくるはずです。残念ながら今回の仕分けではほとんど見ていません。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-30 00:04
2009年 11月 28日

赤ちゃんに笑われる

今週は沢山書きましたのできょうはちょっとだけにします。

長男夫婦が孫を連れてお昼頃にきて夕方まで遊んでいきました。
孫は女の子で、まだ生後半年にもならないのに色々できるので感心して、他人が聞いたらわたくしの頭がおかしいのではないか、と思うような賞め言葉を次々に本人に言ってしまいました。
泣かれるかとおもったら、笑ってくれたので安心しました。

腹ごなしに散歩したのですが、三丁目に住まわれるS先生が家の外に居たのでちょっと家を拝見させてもらいました。奥さまも来年で定年とか。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-28 17:36
2009年 11月 27日

徳川生物学研究所、田宮博先生、柳田友道先生

暖かい日です。妻はいま姫路にいる育休中の長男が育休業務からのデイタイムオフを京都で取りたいとかで、お嫁さんの実家まで来ているので、朝いそいそとおばあちゃん二人での育児に京都の西の方に出かけていきました。
わたくしは明後日沖縄のワークショップに出かけますので、講演準備がありましたが、さっきだいたいすんだところです。名前だけのオーガナイザーみたいなものでまかせきりなのですが、始まればそれなりに役割があります。

マスコミ関係者が今日が最後だかの、この政府の予算仕分けに大甘なのですが、面白いのはみなベテランの人達が上気したような顔つきでこの作業を興奮気味に語ってる姿です。よほど心が吸い取られているのです。でもわたくしは科学記者を20年もやったような人が、予算を年度で全部使い切らないといけないのが諸悪の根源だとわたくしが言ったときにキョトンとして、それなんですかと言われたのを忘れません。ついこないだのことです。マスコミの人の多くははほんとに現場のこと知らないのです。だからかれらのもっともらしい説明はあやしいのです。今日出ていた、朝日の仕分けについての記事、評価していましたが、無署名記事でした。これ、瀬川さんとかよく分かっている記者さんたちも納得の記事なんでしょうかね。

きのう家に帰って、わたくしがかつて行ったことのある民間の生物学の研究所で徳川生物学研究所というのがあったけれど、あれは何だったろうと疑問におもいネットで調べてみました。
たぶん修士1年か2年の頃の大昔に、東大の植物におられた田宮博先生にインタビューするというので、どこにいるか調べたら、この研究所通称とっけんにおられるとのことでした。当時はえらいと言われる人達にお会いして話を聞くのが自分の使命のように思っていました。
どのようにアポイントを取ったのか憶えてないのですが、誰かと二人で行ったのでした。とても怖い先生だからくれぐれも言動に気をつけるようにと、たぶん高宮研の加藤先生だったかに言われたものです。
おそるおそる言ったら、気さくに話をしてもらえたのが記憶にあります。当時は植物に無知(今もですが)だったので、なにを聞いたのか憶えていませんが、とっけんは目白のあたりにあって、古いけれど大きくて立派な住宅にあったと憶えています。実験室がどうだったのかわかりませんが、当時の植物、光合成実験などいろいろできたのでしょう。ネットで見ると、そうそうたる人々がここで研究をしたいたのです。軍隊帰りの若者がかなりいたようです。
尾張の徳川のお殿様の子孫である徳川義親元侯爵が作ったものだと言うことです。知りませんでした。でも誰かお金持ちの家だろうとは感じました。財政的に続かなくて1970年に閉鎖されたとあります。ですからわたくしが訪問したのは閉鎖される5年前くらいだったのでしょうか。

田宮博先生はクロレラの研究でも有名でしたが、ネットで検索しているうちに、徳川生物学研究所を詳しく書いてある文章にであって、どなたが書いているのか、そのエッセーのホームページにたどり着いたらなんと柳田友道先生のでした。
なんと懐かしいことでしょう。
わたくし先生の当時応微研といった東大の農学部の隣にある研究所の研究室で大学院生をする予定だったのです。でも、ひょんなことで野田春彦先生のところに変わったのでした。でも柳田先生にはその後も何度となくお会いしたものです。
おい柳田、おまえの同期のあのN君をなんとか説得してくれよ、などと頼まれたものです。ほんとに昔の話です。柳田先生、yanagitaとつづります。わたくしはyanagidaですが、親の生家のほうではyanagitaとも言ってます。もしも同じ研究室ではたらくとごっちゃになってややこしい、なんて話があったりして、わたくしが勝手にyanagidaとしたもので、わたくしの栃木の一族はたぶんyanagitaとかyanagidaとか適当に言ってるのですが、たぶんyanagitaが優勢でしょう。
話がそれてしまいましたが、昨晩遅くまで柳田先生の色々書かれたものをネットで読んですっかりしんみりした気持になってしまいました。それで民間の生物学研究所探索のほうはさっぱり先に進みませんでした。でも、学部生か修士1年の頃に駒込にあった理研に行ったのを思いだしました。根粒菌だかにヘモグロビンがあるのだよ、とか聞かされた記憶があります。
柳田先生、お元気のようです。いろいろご病気もされているようですが。いつまでもお元気でいて欲しいものです。95才におなりになったようです。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-27 16:27
2009年 11月 26日

辞職の道しかない鳩山首相、研究者は本当は節約好きなのに、これでは日本は死ぬと言った名大学長

朝地下鉄の駅で乗ったエレベーターの中で突然「柳田先生」と声をかける女性がおられ、大きなマスクをしていたので、「あなた誰?」と聞いたら、「Oです」。懐かしい。10年近く前に秘書だったOさんでした。いま京大病院のS科にいるとのこと、おもわず病院にはいくけど「S科」にはいかないな、と言ったら聞いて笑った人がいました。熊野神社まで近況を話しました。お忙しいようでした。

まだ首相になってわずかに2か月で内閣の支持率は今回の仕分け作業の興奮もあって、非常に高いのですが、わたくしには鳩山首相には辞職の道しか残ってないように見えます。
ご自身の政治資金はなんぼなんでもひどすぎてこれでどうやって生き延びるのでしょう。致命的なのは家族のお金が数億円も入っていたことが分かりつつあることです。たぶん彼が愛してやまない母堂を巻き込むのは、あまりにつらいに違いありません。それにご自身がなんどもなんども秘書の過ちは雇用した政治家の過ちと断定した民主党代表時代の演説があるのです。この過去の経緯を考えると、どう言い逃れるのでしょう。知らなかった、非常に驚いた。ほんとうにごめんなさい、ですむのでしょうか。自民党が党利党略でいろいろいってくる前に、辞めたくなるのではないでしょうか。民主党内閣はこれからも続くでしょう。でも、鳩山首相への信頼はかつてのこの言動がくりかえし放映される過程で失われていくでしょう
日本が政治資金に厳しい国だと近隣諸国にも世界の人々にも分かってもらった方がいいのでしょう。選んだばかりの首相が辞めるのは国民も恥ずかしい限りですが、でもこの道が残ってるだけでしょう。

科学技術が一番分かるはずの首相が、政策の根幹方針についてなにもはっきり言わないうちにこの仕分け作業が始まってしまったのは極めて不幸なことだったと言わざるを得ません。日本の歴史始まって以来の理系で博士号を持つ鳩山首相が司令塔にいて、このような状況になってしまったのはなんという皮肉でしょう。
首相が科学技術の重要性を力説し、国の寄って立つ根幹であることを明確にし、科学技術の発展の道筋を明確にした上で、政策の根幹を前もってきちんと述べれば良かったのです。そういうものを持っていなかったのでしょうか。行き当たりばったりだったのかもしれません。
予算総額を明確にしたうえで、丁寧に予算の効率的運用を主張すれば、どんな大学人も研究者もそれに反対するのは困難です。
研究者はほんらい節約や合理化は納得がいくなら喜んで協力する性質をもっているはずです。
たとえば海外のメーカーから直接購入するだけで、国内価格5千万円の装置が半額くらいで買えることもあります。なぜそれができないのか、そのあたり組織の体質改善を考える方が、天下りを叩くより意義があります。本当はできるのです。ただ事務職員の献身的な協力が必要なことは確かです。
今朝益川さんがテレビであの「文化大革命の時の紅衛兵のようなやりかたはいけません」といみじくも言ったように、今回の科学技術研究費の仕分けのやりかたはどう見ても乱暴です。

政治主導、政治家が前面にでる改革方式というのはこういう結果を生みだすのか。研究関係、大学関係はみな驚いてあきれているのが現状なのです。

名古屋大学の学長さんがおっしゃっていることの毎日新聞での記事を下にコピーしておきます。
名古屋大学の浜口道成学長は25日の定例記者会見で、「明確な国家戦略もなく、効率というキーワードだけで一律にカットしている。赤字が解消しても日本は死んでしまう」と痛烈に批判した。
 浜口学長は、特に若手研究者の育成や女性研究者支援に関する予算の縮減が求められたことに、「日本の資源は人材しかない。次世代の産業開発を生み出す研究者を切ろうというのは、日本が生きる唯一の道を閉ざしているとしか思えない」と述べた。「現場を知らない人たちが短期的な視点でマイナス要因だけ見て決めている」と、仕分けの手法についても疑問を投げかけた。

日本の資源は人材しかない、に日本の国土を足したいですが、でも賛成です。わたくしも、テレビで見ていたら、「若手の研究者の飯の種、というか生活保護のために予算を使うのはいけない」、というひどい言葉使いで予算の削減を主張した民間人の無理解に呆れました。研究予算の多くは人件費でしょう、しかも若手こそが国の一番大切な宝なのに。

昨日東京大学であったノーベル賞受賞の人々の会合にでたというYさんからのメールでは、久々に大学院生が危機意識をもって深く考えた意見を発するのを聞いた気がします、とありました。

今回の出来事のひとつの救いは、このように多くの科学技術にかかわる人びとが覚醒する出来事となりつつあることです。
しかし問題はその結果、人々はどこに向かうかです。どう考えても深刻な状況が続くことは変わらないでしょう。いまの民主党の有力な議員の考えは無意識下に反科学技術研究的な思考と行動をするようにみえます。それにいま程度の批判ではまったくへこたれていないようです。
民主党政権が続くかぎり厳しい状況が続くのかもしれません。
わたくしは、自民党はもう消えてしまったようないまの状況では、民主党議員が科学技術の発展こそが日本が生きる道とほんとに思って頂けるようになるような状況を作っていくことだと思うのです。でもそれが非常に痛い学習の後に分かるようでは、まさに日本は死んでしまうという表現は大げさでない、と思います。予算案の決まる年末まで油断のできない日々が続くのでしょう。
しかしいっぽうで、昨日も述べたような自助のみちを実際に実行することを、考えだしたいと思っています。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-26 15:49
2009年 11月 25日

日米の絶縁感、黒色コメディの先、自助のためならすべてをなげうっても

日米は同盟国ということになっていますが、民のレベルでは同盟とはおよそ縁遠いのかもしれません。沖縄の読谷で男性がひき逃げされて死んだ事件で運転していた米国人はまったく知らない、でもひいていたのだったら、ごめんなさいです、と人ごとのような発言です。もうひとつは10代の米国人4人が道路に細いロープを張って女性がバイクでひっかけられて瀕死の重傷なのに、彼等4人は逮捕されるまで知らんぷりを決め込んでいます。日本人蔑視とはいいませんが、日米の人々の間で同じ生活空間を共有しながら互いの友好感は極めて乏しくなっていることの象徴と見ています。いつも米が加害者、日が被害者の構図で、かつ相互の絶縁感がなんともいえず情けないです。

この仕分事業に関する、政治社会劇がだんだん見えてきました。
国民の85%だかが喝采するこの公開仕分け劇ですが、悪役はあいもかわらず「高級」官僚です。必殺と冠がつく仕分け人はいまや救国のヒーロー扱いです。
郵政選挙の時の熱狂もいまから思うと不思議ですが、この税金節約の熱狂仕分け劇もいまから数年もたつとこの熱狂が不思議に思いだされるでしょう。
この仕分け事業の司令塔にいるはずの首相は自分の周辺で巨額の個人的なお金、母親のお金などが一緒くたになって、野放図にしてアナーキーとしかいえない政治資金の乱脈な集め方使い方があることが分かってきてます。でも不思議に、そのままほったらかしになると予想されています。
この節約と乱脈のコントラストが黒色コメディの主モチーフです。
仕分けで予算が減らされる学者先生方は、わたくしも含めてみなけしからんと怒ってるのですが、残念ながらこの劇の脇役でしかなく、社会の中での影響力は非常に弱い。野依先生は仕分け人は歴史の法廷に立てるかと名言をはきましたが、仕分けに対する熱狂を止めることはできないようです。
この黒色コメディを見ている少年少女はなにを感じているのでしょうか。かれら自身の未来にむすびつけてどう感じているでしょうか。わたくしはそれを一番知りたいです。
わたくしは、それなりに問題点が分かってきました。
政治というのは理屈で動くのでなく、いわゆる一寸先は闇、ということなのです。この先のわからない劇を見ているしかしかたないです。
官僚政治はその点、先が見えるのですが、政治主導というのはこういうわけの分からないことがこれからずっと続くのでしょう。いま表に出て来ない菅氏の国家戦略がいかなるものか、それも知りたいものです。

基礎科学研究に対する国家のサポートが乏しくて苦労したのは欧米での有力国でも同じようなことが起きているのです。彼等がやってきたことについてはこのブログでも何度も触れているのですが、やはり民間からの寄附が一番のソースでそのためには寄附にかかる税金を減らすことからいろいろな工夫がされています。特に米国は寄附文化がもっとも盛んです。日本がこれを直ちに模倣することは困難です。
でも今回のことを契機に、国を頼りにしないで基礎科学研究をしようという自助の機運が基礎研究者のあいだで拡がるということはありえないでしょうか。
わたくしは真剣にそのことを考えるべきだと思っています。
もしもわたくしがそのような運動に関われることができるのなら、すべての雑用をなげうって、その運動に参加したいものです。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-25 14:40
2009年 11月 24日

若い人たちへ、unfairな一語、野心があるのひと言

きょう訪問したS君はわたくしのブログのコメントを細かく読んでいて、いろいろ感想をいってました。
わたくしはあまり感想ありません。ただ、若い人が多いみたいなので、滅多にこんなことかきませんがちょっと書いておきます。
やはり若いときに難しいのは、人間関係ともうひとつ未来予測の困難さです。若いというのはわたくし、この年なので40代はもちろん、50代でもわかいなんて思ったりすることがあるくらいです。

それはさておき、前回に触れたわたくしが書いてしまったGrant Getting Game in Japanですが、自分なりに過激に批判的にならないように、自分なり非常に気をつけて書いたつもりだったのですが、誤算は編集部が知らぬうちにつけた見出しの文章でした。ゲラにもなく印刷されたものにあった文章にこうありました。
「日本の生物学者は日本のあいまいでunfairな研究費分配のやりかたで挫折している。日本が一級の研究グループと国際的に競合するために改革が必要だ。」
後半も前半もだいたいはいいのですが、このunfairという一語が入っていたのでした。たとえ心で思っていても書いてはまずいに決まっています。これが文科省研究費関係者を激怒させたと、消息通のかたに後で言われました。本当かどうかは知りません。しかし、外国の知り合いの何人かにも、あんたあんなこと書いて日本で生きていけるのか、言われたものです。しかし、本当のところ、このことのおかげで研究に専念できたありがたい、ともいえます。ともあれ、自分の書いた文章でなくても、ひとたび公になれば、どういうことでも言い訳などほとんど意味ありません。責任を取らねばならないのですね。論文公表でも同じことです。一流誌はよく英語を大々的に直します。ぼんやりしていると、まったく意味の違う文章になっていることが良くあります。それだって、出てしまえば、自分の文章になってしまうのです。こういうことは珍しいことではありません。

もうひとつ、思い出話を書いておきます。
文科省の科学技術政策研究所でやった講演録「わが国大学における生命科学の研究と教育推進の危機的状況」のでは、生命科学者が三度の危機をどう対応したかに触れました。組み換えDNAの始めの頃、ヒトゲノム配列決定開始の頃、そしてヒト胚細胞研究禁止の頃、です。二番目のヒトゲノムの推進の初期の頃の思い出話も書いたのですが、極力個人攻撃にうけとられないよう、しかし言うべきことは言っておきたい、と思ったものです。
わたくしあの頃は結構ゲノム屋だったのです。国際会議も出たし、それなりに色々知識もあり実績もあったのですが、ヒトゲノム自体をやる気はまったくありませんでした。しかし、ゲノムのことは割合知っていたので、色々発言をしていたことは事実です。
しかしある時、何人かからこの関係のえらい人が柳田がヒトゲノム計画に「野心がある」と言いふらしてますよ、と注意されました。これには呆れました。と同時に、馬鹿らしくなり、発言を止めました。よく知っているどちらかと言えば親しいはずのえらいさんがそんなことを言うのが、日本の学問の特に霞ヶ関チックな学者先生たちのポリティックかなとおもったものです。
それで、わたくしの研究室でも徐々にゲノムの研究は減らしていったものです。要するにやってられない、という感覚でした。この判断は個人的には間違ってなかったと思っています。

若い人には学問をとるのかそれ以外を取るのか、という難しい問題が年をとると折々に出てくるので、それまでに体を鍛えておけではありませんが、間違った判断をしないように準備しておくべきです。でもなにが正しく、なにが間違っているか、コントロールのない判断でもありますので、結局はわからない、ただ不幸せなことにはなりたくない、こういうことだと思います。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-24 17:29
2009年 11月 23日

新嘗祭と天皇陛下、日吉大社の東照宮、週末からの沖縄ワークショップ、わたくしへの誤解:追記日高敏隆さん

勤労感謝の日、昔は新嘗(にいなめ)祭といいました。収穫に感謝し、お祝いする日でした。
いまでも陛下はこの日は長時間の神事を行っているとのことです。このあいだのたかじん委員会でも、陛下が常に日本と日本国民を思って祈られている、ということが話題になっていました。とてもいいアプローチのしかたで、感心しました。
わたくしもやはり日本という国家を考えると最初に天皇のことを考えてしまいます。本当はそれではいけないのではないかと思うのですが。
いまの天皇、皇后という希有の存在が日本といういまの難しいこの国を束ねているのは間違いありません。まったくありがたいことです。
いい天気でもありましたので、日吉大社まで歩いて行きました。紅葉も盛りでした。
人も沢山出ていました。
行列が長くあったケーブル駅のまだ上にある日吉東照宮まで行きました。徳川家康を祭る極彩色の小さな社です。特別拝観とかで中も見ました。ご開帳は年に一度6月1日とのことでした。
帰りに坂本の人達がやっている市で、由緒深い苗字の知り合いの人から柿を買いました。庭の柿とのことです。300円なのに沢山おまけしてくれて、重たいこと。でも、家で食べるとわたくしが一番好きなタイプの味でした。往復で遠回りしたので、9000歩でした。

残りの時間はずっと日曜から始まる沖縄でのワークショップの準備というか、ネタを吟味していました。今年はポスドクのSK君が非常にがんばってやってくれています。色々事務的に難しいことがあるのですが、忍耐して頑張っています。こういうものは昔からそうなので、ワークショップのようなもののプロモーターを無事に主催できれば日本の組織ならどこへ行っても大丈夫になるでしょう。

今回の仕分けだいたい言いたいことは書いてしまったのですが、でもいろいろ出ているコメントにはほとんどレスポンスしていません。時間もかかるし、すぐ対応すると誤ったものになる可能性が経験的に高いのです。

ただわたくしは一部にどうも誤解されているようなので、下にちょっとだけそのあたりを書いておきます。
(1)わたくしがここで書き散らしていることには、なんの権威もなく無価値と思ってください。政治が話題ならひとりのおっさん(じいさん)の床屋談義にすぎないのです。
(2)わたくしは国の学術教育研究立案などにまったく影響力はありません。皆無です。それどころか、いまから20年前にNatureにGrant Getting Game in Japanなるものを書いてしまったので、文科省(当時文部省)のみならず研究費を分配するえらい先生方にも大変にらまれて、ブラックリストのトップになったことは古い先生なら誰でも知っていることです。そういうこともあり生涯でただの一度も文科省など政府のそういう委員会や審議会などに行ったこともなければ呼ばれたこともありません。ですから勘違いしないでください。
(3)ただ、一度だけ2002年に文科省に付属する政策科学研究所に呼ばれて講演をしたことがあります。人生に一度の機会だったので、ものすごく張り切ってやりました。この時のPDFファイルはわたくしの研究室のホームページからダウンロードできます。ご興味あったら読んでください。その頃といまでも考えはほとんど変わっていません。
http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/labs/kozo/kouen_July2002.pdf
この時は講演タイトルに危機的状況とあり、この講演の責任者であった樺太にある海峡の発見者のご子孫の局長さんが絶対駄目だ、といってられたようでしたが、わたくしもそれなら絶対いやだ、と言い張ってとうとうこういう名前のものになってしまったのです。若気の至り、申し訳ないといいたいのですが、もうその時は50才くらいですから。三つ子の魂、というかベトコンスピリットはその頃にもまだ強くあったようです。しかし、文科省はわたくしの研究費申請や業績評価に関してただの一度も曇りのあるようなことはありませんでした。文科省は非常にフェアーな官庁というのが正直な気持ちです。足を向けて寝られません。
これですこし、誤解を持たれた方が修正して頂けるといいのですが。

追記
投稿してから、日高敏隆先生が亡くなられたとの報に接しました。いつまでも温顔の先生が自分が生きている限りは生きておられるような錯覚がありました。
影響を受けました。生き方のスタイルがなんともいえず魅力的でした。もうああいう方は出てこないような気がします。誰かに聞きましたが、フランスでのパーティでフランスの女性たくさん彼を囲んで談笑する、日本男子でまったく例外的にいわゆる外国人女性にまでも「もてる男性」でした。
長いことお会いしていません。
でも娘が先生の著者をだすための編集の役割をして、自己紹介したら、なんだ柳田の娘さんかと、お父さんは呼び捨てだったよ、といわれました。当然呼び捨てです。11才も年上ではるか雲の上にいるような方なのになんとも親しみやすい人でした。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-23 16:57
2009年 11月 22日

日本国民の求める日本の科学技術研究のレベル、

午後3時くらいから雨となり、外での作業もできなくなり、家の中に入りました。
11月末でもまだ植物は成長し、その植物のなかには雑草も含まれます。アーティチョークが6本みな立派に育ったのですが、これらがどう冬を過ごすのかわたくしがよく分かっていません。

日本の国民は一般的に自国の科学技術水準がどの程度であることを強く願っているのでしょうか。
わたくしにはよく分かりません。
なにも強く願っていないのかもしれません。
ただ言えることは、いまだったらアジアの中で相対的にベストである。これは間違いないでしょう。しかし、世界の中では人口あたりで見るとかならずしもトップクラスつまり世界の5位とかになるとかいうと、疑問があります。このあたりの認識もいいのでしょうか。
スイスは人口がだいたい九州くらいで、面積もそれくらいです。スイスと九州の生命科学を比較すればスイスがずっと上でしょう。首都圏だと東京の半分くらいの人口になってしまうのですが、それでもいい勝負ではないでしょうか。
オーストラリアはノーベル賞受賞者の数は日本の半分くらいですが、人口は4分の1くらいでしょうか。おおざっぱに見ると日本はオーストラリアなどより格段に水準が上そうですが、でも吟味するとそんなことはないのです。医学生理学賞の数では日本はぜんぜん負けています。
アジアの中での日本の科学技術の水準はかなり揺らぎだしています。シンガポールに行けば誰でも理解出来るとおり、ここには世界のタレントというか世界中から能力の高い、また実績の非常にある研究者があつまってきています。米欧ばかりでなく日本、インド、ロシア、中国はいうまでもありません。横浜市くらいの人口ですが、シンガポールの生命科学の話題になる頻度は日本の国全体に負けないくらいです。中国はものすごくアグレッシブに先端研究をサポート始めています。世界ナンバーワンの米国のシステムを徹底的に模倣することから始めています。尋常でない数の中国の若者が米国に行き、育ちいま帰国し始めています。5年ではまだまだでも10年も経過すると世界を席巻するような業績が出てくる可能性があります。

日本の状況にはいい材料がありません。
大学院の博士後期課程にくる若者が激減しているとよく聞きます。わたくしは学生と接することはまったくなくなったので分かりませんが、優秀な若者が減ったと、たまにしかいない、と東大や京大、名大、阪大の先生から聞かされます。
理由は若者から研究の世界は見放されつつあるという意見が教授先生のあいだでは強いようです。
わたくしが想像するに奨学金の返済が義務化されつつあるようになったあたりから、日本社会が大学で研究する若者を見捨て始めたと思っています。
世間でいうおばさんと話しても、苦学する学生なんてマイナスイメージでしかない、そういう感じです。お金が沢山必要で、授業料をはらい生活費をバイトや親の仕送りでえて、それで30才ちかくなる生活が、社会から推奨されている生活と実感する若者はほとんどいないでしょう。それでポスドクになって年収250万以下が例外どころかありふれていれば、大学院生は社会的には物好きな若者になってしまったのです。制度的にもまた社会での扱いもそうなったのです。
日本人がどう思おうと、制度的に大学での研究、そのごのポスドクでの研究は日本では科学技術の発展は見捨てられてしまったのかもしれません。これが自民党の政治の結果です。いま民主党はそれを継承どころかさらに厳しくしようとしているようです。科学技術など当事者が必要性を叫びたてなければぜんぶばっさり切ると、きょうも仕分けの責任者が言っていました。そういうものが民主党にとっての科学技術の概念なのでしょうか。日本の未来のすべてがかかっているとはおもわないのでしょうか。
ですから決して皮肉ぽくやすねていうのでなく、日本社会は大学院での研究が衰退してもしかたがない、というかそんなことにかまってられないくらい、社会経済の低下に対応するので精一杯なのだと思います。
わたくしは数年前まで精一杯わかものに博士をとってもらうべく人生の情熱をかけてきたつもりですが、最近は結果かれらに苦しみを与えるような契機を作ってしまったのか、などと思うことがよくあります。
ひとことで言って、日本の科学技術研究は今回の仕分けのような扱いを受ければ志望する若者はますます減り、いいことを探すのが困難になってきたような気がします。

いっぽうで若者、若者といって、十分に錬磨される環境にいない、力をつけていない若者を独立して研究室を主宰させれば、研究は世界の中での格闘技のような行為ですから、世界の競争相手からコテンパンにやられるだけでしょう。気概、迫力、能力、どれをとっても後発のアジアの若者に勝てない事態が目の前まで来ているような気がします。
日本国内での研究職は日本語の壁で守られていますが、その壁も世界の中で勝っていくにはかえって手かせ足かせなのです。
国民が研究者よ、多いに説明しなさいよ、めげずに頑張りなさいよ、などと言っていて本当にいいのでしょうか。能力ある人間がどんどんいなくなっていて、それでいいのですか、とわたくしは問いたいです。
もっと日本の貧しい研究の実情に関心を持って欲しいです。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-22 16:18
2009年 11月 21日

リンゴ、モモコさんの仕分け概評、やはり毛利さんすばらしい、新旭針江地区

けさ坂本の家を出る前にコーヒーを飲みながらテレビを見ていたら、ハイヒールリンゴさんが時事解説をしていたのですが、こんどの仕分けの概評は○が二つで、ペケが二つでした。ふたつの○はなんだか忘れましたが、×のほうはよく憶えています。ひとつは長期でみなければならない科学技術を仕分けるのは良くないというのと、もう一つはこの仕分けが財務省の思うつぼのシナリオ通りにやったに過ぎないのではないか、という疑い。いいこというじゃないか、と嬉しく思いました。そうやそうや、とおもわず声をだしていってしまいました。これたぶん関西だけの番組でバレーの元選手の河合とモモコさんの背の違いに思わず微笑んでしまうのですが。リンゴさんちゃんとスーパーコンピュータの擁護もしていました。えらい!とらきちの経済学の先生が、政治が率先して消費拡大をしてくれないと、日本の先行きは真っ暗とのご託宣。経済界の民主党への反感は日増しに増えてきているでしょう。
今回の仕分けの対象はすべて、財務省が大幅に減額を狙っていたもので、科学技術の競争的研究資金や国策先端研究もかれらの大幅減額目標の標的なのでしょう。財務省の国費で科学をサポートする熱意が低いことは昔からよく知られていました。理由はあんなにとんでもなく頭がいい(公務員試験的に)のに大学院などいく気も無かったメンタリティーにあるのでしょう。
今回のヒーローは文句なしに毛利館長でしょう。財部省の役人があのお台場にある子どもに人気のある科学館が大幅な赤字だといったら、毛利さん、高校や中学が赤字だといいますか?財務省の考えは根本的に間違っている、との反撃をしました。
わたくしもお台場のあの建物に最近も行きましたが、彼のいうとおり本当に努力しているとおもいます。なにしろあのお台場というのは非常に不便で、周りになにもないところで、それなのに年間80万人とかいう入館者数というのは毛利さんの本当に大変な業績です。今回は仕分け説明人の中でも断トツに良かったに違いありません。ただあの建物奥のほうはたしかに役人臭があります。しかたないのですが。毛利さん今回のことを奇貨として、残存する役人のかんばしくない部分のほうは臭いを消せるといいですね。

きょうは畑の収穫が沢山ありました。里芋が非常に沢山、それにまだまだトマトが沢山とれています。
昼飯を近くのタイ料理というかタイラーメンを食べて、畑の後片付けをして、そのあと前から行きたいと思っていた新旭の針江に行きました。水路の集落として著名なところです。
評判通り、素晴らしいものでした。
集落の一角にある川島酒造で日本酒も買いました。試飲したら素晴らしくいいのがありました。
こういう時、車の運転をしない幸せを感じます。
帰路、道の家で妻はオニ柚子なる巨大なモノを購入していました。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-21 17:33
2009年 11月 20日

いまや戦々恐々状態の大学 ハイライトの女性委員長の発言、景気の悪い話

朝投稿したのですが、大学内関係者は戦々恐々状態なのでちょっと簡単にリポートします。
京大研究担当理事からはアラーム的に京大全員に文科省に意見具申をして欲しいとのこと。

行政刷新会議「事業仕分け」にて文部科学省関係の事業についても行われているところですが、文部科学省では多くの声を生かしていく観点から、広く国民の意見を求めるため意見募集しています。
 現在の「事業仕分け」が適切であると判断された場合、我が国の学術研究の基盤、 創生、将来が危惧されるため、本学教職員の方々からも積極的に意見を提出していた だきますようお願いいたしす。

同じ建物にWPIと略称される世界トップレベル研究拠点がありますが、このWPIの事業仕分け時の様子がテープ起こしで送られてきました。先生ぜひ読んでみてください、とのメッセージ付きでした。同時に外国人研究者招へい学術国際交流事業の仕分けもありました。
厳しい査定的質問が続いて、説明者はしどろもどろでした。とりあえずわたくしは自分の意見を差し挟みません。
ハイライトは以下の様な女性委員長の発言でした。

すみません、重ねてお伺いしたいのですが。このWPIの場合の目的ね、読ませていただくと、「世界的な著明研究者を拠点長として責任者に位置づけ、その下に高いレベルの研究者が結集する。優れた研究環境と高い研究水準を誇る、世界トップレベルの研究拠点を形成する」。つまり箱ですよね。で、10年から15年……拠点地ですから。で、入れものをご用意して、そこに30%以上の外国の方に来ていただいて、10年から15年というタームで研究を後押しする、と。そうすると、税金をお支払いして、この後押しをした国民は、10年から15年後に何を実感できるんでしょうか。
 
すみません。あの、とても上品なお言葉を使われますが、具体的に何を私たちは身につくんですか。何が残るんですか。つまり、その、いただいたWPIのポンチ絵だと、国際水準の研究環境と生活環境が、まあ取り組み内容の中にあるのですが、拠点長の強力なリーダーシップと、厳格な評価に基づく給与。言語は自分をも含め英語。じゃあ、これを支えた納税者は、何を実感するために税金を、この方たちに……お支えするのか教えていただ……具体的にお教えいただきたい。

これには官僚は答えられないでしょう。
どうして研究者トップが説明しなかったのでしょうか。
民主党はコンクリートから人へといっていたのですが、
同じ人でも高給取りは絶対許せない、そういう考えのようです。でもトップ以外はみんな薄給なのに。
糾弾されている無駄遣いのほとんどは人に使っている人件費なのかもしれません。
勝ち誇って半分か三分の一に縮減されても、その標的はクビになるであろう秘書さんとかいちばん薄給のポスドクとか、廊下やトイレを掃除する人達なのですがね。
ヘンな話、一人のハーバード大学の教授に2500万円の年収を払えるようにすると、15人くらいの雇用が発生するのです。
でもそうヘンでもなくて、世の中そんなモノじゃないですか。一人のスターが出れば100人が潤うんです。山中教授一人のおかげ何人の京大の先生が助かっているか。
10代ゴルファーが一人すごいのが出ると、何十万人の人がゴルフを見に行くんですね。
景気回復なんていうのも気分ですから。この仕分け作業、世間の喝采を受けていますが、世の中を不景気にするのにこれくらい効果があるのはないかもしれません。縮減、縮減です。景気の悪い話です。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-20 17:15