2007年 09月 25日
休みが続いた後なので京大病院に入ろうとする車が多数、熊野神社あたりでバスがなかなか先へ動きにくい状態でした。 百万遍について9号館の建物に近づくと、建物脇にプレハブが建ちだしています。これから半年間われわれが入る隣の分子棟にいく道が遮断されるので、急な芝生のスロープに危険なので仮設の階段をつけてほしいと、このあいだ強く施設の担当者に言ったのに、何もありません。研究科の事務のHさんに施設に連絡して早く階段をつけるように、と秘書のSさんにお願いしました。しかし夕方にいたっても何も変化ありません。この京大の施設の仕事の駄目さかげんは、無責任さとあいまってどうしようもないです。本当に月給泥棒と言ってやりたいものです。責任感の強いHさんがいかに迅速に施設担当者をうごかせるか、様子を見守りましょう。わたくしもあしたから引っ越し準備です。 福田内閣の官房長官が町村氏とか。わたくしはこの人も評価しません。このひとが口を開いてなにかいうと巧言令色鮮し仁という言葉をおもいだします。誠実さを感じません。森元首相にはなにか人間としての暖かさをかんじますが、町村氏はたぶん人望がないのでしょう。 小泉首相が福田氏を支持したと、という経過と今回の人事をみると、小泉氏に政治家としての首尾一貫性を感じません。辞表をたたきつけて辞めた飯島秘書官に首尾一貫性をかんじます。小泉氏はこのような派閥オンパレードの陣容を作る福田氏を支持したことで、政治家として晩節を汚したとおもいます。 福田内閣の派閥のトップをぞろぞろずらりと並べた人事は国民を完全になめきっています。世の中は福田氏の思うようなものではないことをまもなく思い知ることになるでしょう。しかし、いまの年齢が72才で東京の学芸大付属の小学校をでて、そのあと麻生中学高校をでたのであればお坊ちゃま路線そのものですから、しかたないのでしょうか。わたくしは福田氏は人間としてはそれなりの一貫性をもった方とみてますが、しかしこれまでの人事はいまの時代にそぐわないです。予算を通さなければ日本はたいへんになるといわれてもそう感じるのは、正社員とか公務員とか社会では上の方の少数派のひとびとだけなのがいまの日本ですからね。 9月18日にJSTの北澤理事からレスがありましたが、わたくしは北澤氏のいわれていることは充分理解もでき、JSTの運営の難しさもわかりますので、格別のコメントはありませんでした。 今日載せますのはそのあとで北澤氏から送られてきたものです。全文を掲げます。たいへん有意義な議論でもありまた情報が書かれております。お時間をとって書いていただいた北澤氏に深く感謝します。 なお北澤氏は10月1日よりJSTの理事長になるとのニュースがありました。 北澤氏の追加意見 これは今回のブログそのものではなくこれまでたまってきたものです。 北澤 宏一 1)理想的には「研究者自らの発意によって行われる基礎研究を支える科研費」と、「研究者に国から目標を指定して委託される目的基礎研究としての戦略創造」とで研究者に無理のない形ですべての研究がうまくカバーできればベストです。私の印象では「そのためには日本の競争的研究費はもう3倍に伸ばす必要がある」とみています。その理由は科研費の充足率が25%程度しかないことです。残念ながら4分の3の人は科研費がもらえません。このような状況では、先生も記しているように、優秀な研究者といえども、研究費に「当たるも八卦、当たらぬも八卦」になってしまいます。 2)米国の競争的研究資金は4兆円を超え、日本のほぼ10倍です。もっとも、そのうちのかなりを彼らは大学にオーバーヘッドとして貢ぎ(高いところは65%もとる)、また学生の給与もださねばなりません(保険まで考えると大学院生一人700万円位につく)。さらに、自分の給与のうち3ヶ月分位を研究費から出さねばならないようにできている場合もあります。しかし、にもかかわらず、この競争的研究資金の存在によって米国の大学や研究所は非常に自由な運営ができるようになっています。たとえば、ある大学がある分野の専攻を新たに作りたいと考えたとします。専攻長のやるべきことは「優れた研究者をスカウトしてくること」の一語に尽きます。なぜなら良い研究者は必ず競争的研究資金を取れるので、そこからオーバーヘッドも学生の給与も払えるので、「専攻を作ってひとを連れて来てさえしまえば良い」ということになるからです。このため、米国では競争的研究資金を取れる研究者を引き抜くために、「奥さんや家族を満足させることまで考えてスカウトをする」のが常識となっており、クリティカルマスとしての最初の数人をスカウトするためには大変な工夫がなされます。しかし、新たな専攻や研究所を作ることができる。日本の大学が変化についていけず、一方で、米国の変化がす早いのはこのような「経済合理性」によって大学が動くからと私は見ています。 3)米国の大学には定年制がなくなりましたが、これが可能になったのも豊富な競争的研究資金の存在が大きいと思います。すなわち、大学からすれば「競争的研究資金をとってくる限り、大学としては是非いて欲しい」ようになっているからです。逆に研究資金をとって来ることができない人は定年にならなくても自然と引退するようにできています。日本でも「間接経費」が導入されて以来、この点での自由度が少し増えました。定年後も研究資金がとれる場合には元の大学に、あるいは他の大学へ移籍して定年の制約のない「特認教授」として研究を継続するケースも増えてきました。JSTの戦略創造でもそのようなケースがいくつか見受けられます。 4) JSTがライフサイエンスにどの程度参画すべきかについては大きな課題を抱えています。その理由は「厚生科研費」と呼ばれる競争的資金約500億円が存在することと、さらに、ライフサイエンスには数多くの民間研究助成財団が存在します。このため、ライフサイエンス、特に、医療に関連する研究者の応募書類を見ると、他からの研究費を得ている人が相対的に多いと私は観察しています。活発な若い研究者で数件から10件程度も異なる研究費を集めているケースが少なくありません。一方、通信情報分野においても総務省の研究費が存在しています。環境関連の研究費は環境省のものがありますが、全体として小額であるため影響は少ないように見えます。さらに、物質・材料関連の研究者たちの研究費重複は一番少ないように見えます。 5)JSTでは平成18年度から「プログラム調整室」を設けて研究費の多重重複問題に対処することとしました。これは研究費の不正使用問題において多重重複の研究者の存在が指摘されたためです。必要な研究費は研究の内容により大きく異なります。そこで、重複の可能性のある人については、なるべく研究場所を見ながら研究者とも話し合って適正な研究費を算定することとしたものです。この役割は非常に難しい部分があります。それは、いくつかのファンドソースから異なった研究に研究費を受け取っているからです。そこで、実際に長く研究室を主宰した経験のあるプログラムオフィサーにお願いして、研究室の企画している研究の全貌を把握しつつ適正な研究費の算定をしています。研究費の不足する人にはむしろ増額を進言していただくこともあります。 6)研究費の不正使用の原因を調べてみると、その発端は研究費の年度繰越ができないこと、いわゆる合算ができないこと(複数の研究費を合わせてひとつの機器を購入するなど)、そして目的外利用ができないためです。研究の本質は未知のことを扱うのですから、計画通りには行かないし、ましてや、前年度にもらった研究費で行った研究内容を今年の研究費から学会出張して発表しなければならなくなる(流用に相当)など当然のことです。しかしながら、現在の研究費の使用は国のその他の税金の支出と同じ会計法に従っています。ダムの工事と同じく、二つの工事をするといって一つのダムを作ることは許されず(合算)、また、○○にダムを作るといって××にダムを作ることも許されません(流用)。さらに、○○のダムを作る今年度予算が余ったので、来年の××工事に使いたいということも許されません(繰越)。この制約を外れることができれば苦労はないのですが、現時点では研究界の努力はまだ実を結んでいません。 7)このため、合算、流用、繰越はすべて例外としてしか認められません。これを「基本的な研究者の権利」とするためにはまだ大きな努力が必要です。したがって、現時点では「合算、流用、繰越」問題はすべて原則的禁止です。このため、それを行わざるを得ないときには、1件ごとにお金を支払うに先立って例外措置を認めてもらわねばなりません。研究者の中には「例外をきちんとマニュアル化せよ」と要求する人もおり、私には気持ちはよく分かるのですが、マニュアルを作ってみてもしょせん「経理担当者には説明責任が求められ」ます。たとえば、「大学院生を学会出張させることができるか」、といった時に、発表もしない学生を含めて大勢を出張させているか、あるいは、非常にしばしば出張させているか、といった周辺状況まで含めて妥当性が吟味されます。 8)例外的措置を認めさせようとする場合には、研究者と経理担当者とはぎりぎりと詰める必要がでますが、そのとき、経理担当者はどうしても安全サイドにことを処したいという気持ちが働きます。それはいたし方のないことです。そのような場合、ファンド供給機関に相談していただきたいと思います。そのプログラムを支援する担当者はたくさんの事例を見ていますし、また、研究経歴をもつプログラムオフィサーが研究の立場からの「認めることに賛意」を表することができます。もちろん、にもかかわらず、会計検査院の調査で黒やグレー判定を受けることが皆無とは保証できませんが、その過程を経ている事項で研究費「不正」として大学や研究者が処罰されることはあり得ず、むしろ、相談をうけたファンド供給機関が問責を受けると思います。研究者はもっとファンディング機関にアピールすべきと思います。それに応えられるようにしていくのは私たちの仕事でもあります。 9)昨年度(平成18年度)、研究費の不正防止に向けた会合が文科省で何度も開催され、その結果、研究費は個人管理でなく、機関管理となりました。すなわち、仮に不正が起こったときには機関が責任を負い、個人は研究機関に対して責任を負うという米国方式の考え方に変わりました。 そのような流れの中で、研究費の不正を招く最大の要因とされる「年度末繰越」を可能とできるよう、財務省も協力してもらえることになりました。ただし、あくまで現行法の範囲内ですから、「研究」という特殊性からくる「例外」としてすべての案件を処理しなければならないことにはなります。 すなわち、「繰越明許」を出さなければなりません。例外を主張するために書類に書く理由をほとんどどのような研究の場合にも適用できるように、適用記述例をたくさんに増やしてもらったものです。これにより、研究者は汗を流す必要はありますが、実質上翌年度に予算を繰り越せるようにしたものです。 しかしながら、現場には情報が十分に伝わらず、大学の各現場の事務は「繰越明許は出さない方がいいですよ。万一認められなかったらそのお金はすべて没収されてしまいますよ」といった指導がなされたやに聞いています。財務省がそこまで考慮してくれているのに、繰越申請が出てこなかったら、大学は笑われてしまいます。東大では副学長名で「繰越を申請して、認められずにそのお金が財務省で没収された場合には、大学が補填します」という通達を出しました。その結果248件の申請が東大からなされたそうです。全国を合わせて641件、科研費全件数の1%弱でした。それでも、その前の年に比べれば10倍以上になったそうです。ちなみに、財務省に申請があった科研費に関わる繰越明許は、すべてが認められたということです。これは研究の特殊事情を財務省が良く理解してくれたことによると思います。ただし、現行法にしたがっているので、あくまで個々の申請を「例外」として認めたものであり、このため、個々の申請書は財務省と大学の間を平均4回も往復したとされ、担当者たちの苦労は大変なものがあったと聞いています。 財務省の担当の人たちは「納税者に対する説明責任がある」ために、一つ一つを「なぜ例外として判定しなければならないか」を自らが納得できるまで修正を求めねばならない立場にあります。担当した人たちは「今回で大学も学んだので、来年は書類が往復することは少なくなるでしょう」と言っています。 私は研究費の繰越は不正防止の上で非常に重要なことでありますので、研究者は汗をかいても繰越明許を出すべきと思います。全員がいつも出すようになれば、いずれは法律改正がなされる理由にもなります。1%の例外であるうちは、「ほら見よ。研究者は年度間繰越など必要としていないではないか」ということになってしまい、関連者の努力は水の泡になってしまいます。
by yanagidamitsuhiro
| 2007-09-25 18:18
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