生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ

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2009年 11月 20日 ( 2 )


2009年 11月 20日

いまや戦々恐々状態の大学 ハイライトの女性委員長の発言、景気の悪い話

朝投稿したのですが、大学内関係者は戦々恐々状態なのでちょっと簡単にリポートします。
京大研究担当理事からはアラーム的に京大全員に文科省に意見具申をして欲しいとのこと。

行政刷新会議「事業仕分け」にて文部科学省関係の事業についても行われているところですが、文部科学省では多くの声を生かしていく観点から、広く国民の意見を求めるため意見募集しています。
 現在の「事業仕分け」が適切であると判断された場合、我が国の学術研究の基盤、 創生、将来が危惧されるため、本学教職員の方々からも積極的に意見を提出していた だきますようお願いいたしす。

同じ建物にWPIと略称される世界トップレベル研究拠点がありますが、このWPIの事業仕分け時の様子がテープ起こしで送られてきました。先生ぜひ読んでみてください、とのメッセージ付きでした。同時に外国人研究者招へい学術国際交流事業の仕分けもありました。
厳しい査定的質問が続いて、説明者はしどろもどろでした。とりあえずわたくしは自分の意見を差し挟みません。
ハイライトは以下の様な女性委員長の発言でした。

すみません、重ねてお伺いしたいのですが。このWPIの場合の目的ね、読ませていただくと、「世界的な著明研究者を拠点長として責任者に位置づけ、その下に高いレベルの研究者が結集する。優れた研究環境と高い研究水準を誇る、世界トップレベルの研究拠点を形成する」。つまり箱ですよね。で、10年から15年……拠点地ですから。で、入れものをご用意して、そこに30%以上の外国の方に来ていただいて、10年から15年というタームで研究を後押しする、と。そうすると、税金をお支払いして、この後押しをした国民は、10年から15年後に何を実感できるんでしょうか。
 
すみません。あの、とても上品なお言葉を使われますが、具体的に何を私たちは身につくんですか。何が残るんですか。つまり、その、いただいたWPIのポンチ絵だと、国際水準の研究環境と生活環境が、まあ取り組み内容の中にあるのですが、拠点長の強力なリーダーシップと、厳格な評価に基づく給与。言語は自分をも含め英語。じゃあ、これを支えた納税者は、何を実感するために税金を、この方たちに……お支えするのか教えていただ……具体的にお教えいただきたい。

これには官僚は答えられないでしょう。
どうして研究者トップが説明しなかったのでしょうか。
民主党はコンクリートから人へといっていたのですが、
同じ人でも高給取りは絶対許せない、そういう考えのようです。でもトップ以外はみんな薄給なのに。
糾弾されている無駄遣いのほとんどは人に使っている人件費なのかもしれません。
勝ち誇って半分か三分の一に縮減されても、その標的はクビになるであろう秘書さんとかいちばん薄給のポスドクとか、廊下やトイレを掃除する人達なのですがね。
ヘンな話、一人のハーバード大学の教授に2500万円の年収を払えるようにすると、15人くらいの雇用が発生するのです。
でもそうヘンでもなくて、世の中そんなモノじゃないですか。一人のスターが出れば100人が潤うんです。山中教授一人のおかげ何人の京大の先生が助かっているか。
10代ゴルファーが一人すごいのが出ると、何十万人の人がゴルフを見に行くんですね。
景気回復なんていうのも気分ですから。この仕分け作業、世間の喝采を受けていますが、世の中を不景気にするのにこれくらい効果があるのはないかもしれません。縮減、縮減です。景気の悪い話です。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-20 17:15
2009年 11月 20日

コメント欄を読む人達、若手の雇用と研究費

このブログの通常の訪問数はウイークデイが2500−3000で、きのうおとといは4000を越えていますので、相当数のかたがコメント欄を見にきているようです。
多くの学会や総合科学技術会議などから緊急アピールや提言が出てきているし、それらの趣旨はわたくしの意見と表層的にはそうは変わりません。ですからここではもうあまり同じことを繰り返したくありません。ただわたくしのほうは怒りにまかせて打倒民主党政権などと口走るところまで行きましたが、別に撤回する気もありません。だからといって自民党政権がより良かったなどという気もありません。失望が深い部分、怒りも深いともいえます。

きょうは仕事前に若手の雇用問題にちょっと触れておきたいと思います。
年寄りはひっこめなどという意見もありますが、年寄りがひっこんだら、若手の雇用問題は一段と深刻になることを、言っておかねばなりません。

いまの日本では、大学も研究所も自分の組織の一員としての研究者の雇用は減りこそすれ増えることはありません。
大学なら、若手が独立の研究室を持つのは漸増してはいるものの全体の中では実にわずかなものです。大学がみずからの責任で人事をして雇用(つまり常勤的に最低5年間とか)するリスクを取りきれないのですね。いい悪いは別にしてそういうことです。
ですから若手研究者の多くはポスドクになるわけです。このポスドクは機関としては研究費とをもつ古手独立研究者(つまり教授)の責任のもとに非常勤(つまり1年ずつの更新)で雇用するものです。大学には雇用責任はあるものの研究費が無くなれば雇用は消失するので、常勤的な雇用者とは当然わけて扱われます。いまの日本の研究費の多くはこの非常勤で雇われる人件費に使われますから、研究費の縮減は即刻雇用数の縮減になるのです。
研究機会はあるいみ一期一会ですから、ある研究グループが消失すればそこにいた若手たちの研究環境や研究テーマも消失するわけで日本の国土からそのような研究テーマプラス人間たちも居なくなるのです。ですからその分野がなくなるのは身を切られるように痛く感じることが同僚研究者たちに感じられるのです。
若手研究者の多くはどこかに行かされてしまうからです。お金がなくなればそれだけ若手の研究者たちもいなくなるのです。
いまかけ声でいわれている、若手への研究費には本人への雇用に必要な人件費は含まれていません。年間400万円から500万円(税込み)かかる人件費を込みで渡す若手研究費はまずほとんどありません。大抵の若手研究費なるものはせいぜい200万円程度で、研究に必要な経費であって本人の生活費を渡すのではないのです。ですから、古手研究者に雇用されてない若手研究者はどこにも研究費を申請できません。でき無いどころか、居場所も無いのです。
大学などは、みずからの責任で雇用する若手の数は極力減らしたいのです。機関が責任持って雇えるのは、研究主宰者までです。後の雇用は研究費があって始めて若手雇用が成立しているのです。
つまり研究機関にいる膨大な数の若手雇用は主宰者責任であり非常勤です。かれらは財務省レベルの書類では人ではなく物件、つまり人件費でなく物件費のなかに入っているモノなのです。
仕分け人などはこういうことをまったく知らないようです。わたくし自身もモノとして雇用されています。
古手研究者の大半は研究費と若手雇用についてだいたいおおむね似たような感覚を持っているでしょう。

このブログをよむ大半のひとは研究の世界にうといので、我々には常識でもこういうことを書いておかないとなにが問題か分かりにくいのです。

わたくしなどは、超古手で一刻も早く消えてしまえという意見も沢山聞こえるのですが、わたくしが居なくなれば、代わりに誰かがやってきて若手を雇用するかといえばそんなことはありません。単にわたくしとわたくしと一緒に働いている若者たちみんなが研究グループと雇用もろとも消えるだけです。
ですから、誰がなんと言おうと、たとえ直談判されようと、怒号にさらされようと、研究費をえることができなくなるまでわたくしは研究の現場をさるきもまったくありません。最後通牒が来る日までは。

by yanagidamitsuhiro | 2009-11-20 08:54